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病院長ブログ

2023.10.07

執筆論文解説35 排便造影検査

 

排便造影検査(デフェコグラフィ)を私が初めて見たのは九州時代で衝撃を受けました。しかもルーチンでやっていました。その所見を読影する当番がありましたのでたくさんの症例を見ることができました。この当番、結構好きでした。海外の文献や教科書には普通に記載がありますが日本の教科書では少なく内容も重要視されていないボリュームでした。この検査は慢性便秘症の便排出障害の診断には必要です。執筆当時は便排出障害という概念がなく「直腸(肛門)型排便障害」と呼んでいました。本検査はその形態学的変化で診断するのですが解剖学的構造が異なる性差について調べた論文はありませんでした。

 対象は111例(女性60例)で年齢は27-85(中央値70)歳でした。形態学的有所見は直腸瘤、直腸重積、鋸歯状直腸、恥骨直腸筋奇異性収縮、恥骨直腸筋弛緩不全、spastic pelvic floor、会陰下垂です。これらは単独で発見されることは少なく重複(所見同時観察)することが難点です。4重複までありましたが重複に関しての性差はありませんでした。各有所見の性差は直腸瘤が女性に多く、spastic pelvic floorが男性に多いという結果でした。その他会陰下垂の長さ、排出率に関しても有意差は認めませんでした。この結果は予想外でもっと性差が出るものと思っていました。この後ろ向き研究の意義があったと考えています。後年に再度症例数を増やして学会で発表しています。